以前に比べ少なくなってきた感はありますが、まだ日本語学校の経営に興味を持つ人は結構いるみたいです。
私は、この日本語教育業界に約17年います。そんな私でも行政書士になり日本語学校設立のお手伝いをするまで知らない事が多くありました。
経営をする為には、学校を設立しなければなりません。この設立の要件が大変なのです。
要件を満たすようにして、書類を作成をして、入国管理庁の現地調査や文科省のヒアリングなどを受けて、順調に進んでも書類提出から開校まで最短で1年かかります。この1年も認可が下りるまで単に待っているわけではありません。収入が無い状態で学校を維持していなければなりません。認可が下りるかどうかも分からないのに先生の確保も必要です。資金フローのシュミレーションをしてみても、順調に経営ができていても初期投資の回収には数年かかります。
学生数も当初は決められていて、資金回収を早くしたいから多くの学生を集めるといった事もできません。(初年度は最大100名です)
それに、十分に実績のある日本語学校でも学生を集めるのは大変なことです。ましてや実績のない新設校に来たがる学生は多くないはずです。
無事学生が入学したとしても、日本の事を右も左も分からない人が何人も来るのです。
はっきりいって大変です。本人達に悪気はなくとも文化の違いで色々とトラブルが発生します。まだ学校内だけだといいのですが、周辺の日本人とトラブルになったりします。特に今まであまり外国人と接してこなかった世代や、町にそれほど外国人がいなかった場所などでは怖がられますし、数名で道路にたむろしているだけで苦情が来たりします。
そんなトラブルを上手に解消していかなくては学校経営も上手くいきません。経営者の中には良く映るところには出てくるが、トラブルの対処などは職員や教師に押し付ける人もいます。トラブルの対処法を教えられていない職員や教師は、それがストレスになって辞めてしまったりします。学生が多く辞める学校は、留学生間でうわさになりますが、職員や教師がすぐ辞める学校もうわさになります。そんな学校は長続きしないでしょう。
行政書士になり、日本語学校設立の相談を時々受けるようになりました。単なる行政書士ではなく日本語学校の内情も知っているからだと思います。それは正直言って嬉しいことです。でも大半は「お考えなおされた方がいいのでは。外国人を集めたいだけなら、他の方法を考えた方がいいと思いますが。」とお答えせざるを得ない結果になっています。(ま、仕事受注の事だけを考えると、そんな事を言わずに黙って受注すればいいのですが・・・)
日本語学校も学校です。教育の場だと思っています。その日本語力によって留学生の将来が決まる人もいるのです。外国の高校を卒業して日本語学校に来て、1.5年や2年を過ごして日本語学校を卒業しても、彼等は就職できないのです。最近できた特定技能資格を除いて、日本にいる外国人が就職するためには、専門学校や大学を卒業していなくてはならないのです。
留学生の中には日本に来るまで、それを知らない人もいます。募集時に説明をちゃんと理解していなかった人もいるでしょうが、学校側が知らない、または故意に言わない所もあるのでしょう。その代償は学生に来ます。私はそんな学生を何人も知っています。
経営者の方には、高卒の学生を日本に呼んでくる場合は、日本の専門学校や大学に入学させなければならないという思いを持ってほしいと思います。
1.5年や2年過ぎれば、後は知らないという考え方はどうかと思います。
日本語学校の経営を考えておられる方には、是非学校経営のシュミレーションと、留学生のビザの事を知ってもらいたいと思います。
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